国家資格 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 攻略法

エンベデッドシステムとは

組み込みシステムと呼ばれる、家電や業務用機器、ロボットなど様々な機器の設計開発に必要なスキルで、昨今ではIoT機器が増えてきていることもあり、その分野で活躍する人達が主に受ける試験となります。実際の出題例も実製品開発の現場での要求事項、仕様書のようなものが提示され、それを読み解いて正解を導き出すようなテストになります。この資格は情報処理の高度試験と呼ばれる領域になりますので、将来ITエンジニアとして活躍が期待されるエンジニアにとっては挑んでみても良い試験かと思います。

試験内容

午前、午後で下記の4試験に分けて実施されます

午前Ⅰ50分マークシート4択 30問
午前Ⅱ40分マークシート4択 25問
午後Ⅰ90分記述式 3問出題 2問選択解答
午後Ⅱ120分記述式 2問出題 1問選択解答

午前Ⅰ試験についてはIPAの他試験を過去に受講することで、免除対象になる方もいるかと思いますので、詳細はIPAのホームページからご確認いただき受講申し込みの時に忘れずに申請すると良いかと思います。

ちなみに、合格点に達しなかった科目以降は採点されないという規則になっておりますので、とにかく順番に確実にクリアしていく必要があります。

試験勉強に費やした期間

試験申し込みから、試験当日を迎えるまでおおよそ2.5ヶ月間で実施しました。

元々組み込み実装の知識は多少持っていたため、得意領域についてはすんなり学習できますが、特に午前Ⅰ問題については領域がかなり広いため、ここからクリアするためにはかなり時間が必要になります。

勉強に使用したテキスト

・高度試験午前Ⅰ・Ⅱ

午前試験を集中的に、かつ出題傾向の高いものを予測してくれている問題集なので、絶対午前試験だけは突破したいという方はおすすめします。重要な点としては、必ず最新版のテキストを購入することです。1年前の書籍になると価値がなくなります。その理由は攻略午前Ⅰにて記載します。

・情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト

午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱ試験の内容を網羅しているテキストとなります。

本書籍には午前Ⅰについては含まれていないため、この範囲については別の書籍で勉強する必要があります。

午後問題について対策記載がある書籍の中では、おそらくこればもっともポピュラーなものかと思います。

エンベデッドシステムの対策本はただでさえ種類が少ない為、多くの書店で見つけることができるかと思います。

・エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前 厳選問題集

午前Ⅰ、午前Ⅱの範囲をカバーする問題集です。エンベデッドシステムの出題される午前Ⅰ問題の範囲を抽出してくれている書籍になります。左ページの問題、右ページに解答、解説という書籍の構成なので、さくさく問題を解いて学習していきたい方には良いかと思います。

攻略午前Ⅰ

かなり試験範囲が広く、網羅的に把握することが求められます。全問正解する必要はありませんので、出題確率の高い分野に集中して効率よく学習することが求められます。実際私は午前Ⅰの学習に一番時間を費やしていました。この科目を突破できないと以降の試験が採点すらされない為、午後試験をあきらめて帰ってしまう方もいるかもしれませんので、とにかく午前試験を突破することを考えましょう。ちなみに午前Ⅰだけでも合格点を取っておくことに意味があり、以降2年間は午前Ⅰ試験を免除できるという規則があります。戦略的にIPAの高度試験は春季、秋季で実施される試験が異なり、今回のエンベデッド試験は秋季に実施されており春季に受験することができない為、他の試験で午前Ⅰ試験だけを突破するために受験して、秋季の試験で免除をもらって他科目に集中して取り組むという方法もとることができます。試験免除の詳細はIPAのページからご確認ください。

初めて受験する方は高度試験午前Ⅰ・Ⅱを中心に実施することになるかと思います。出題範囲が広く、数をこなしながら解いていく必要もあるため、この「高度試験午前Ⅰ・Ⅱ」書籍とセットでダウンロード可能なWebアプリも用意されているため隙間時間を活用して学習すると良いかと思います。また、再出題の傾向として、過去の問題がそのまま選択肢も同じで出題されることがありますので、過去問を多く解いて、解答を覚えておくというのが重要です

ちなみに再出題は次回(6ヶ月後)と次次回(12ヶ月後)の試験には出題されないような運用になっているようです。もちろん例外もあるかと思うので確実ではないですが、直近試験過去問の出題がそのまま出るようなことは基本的に無いと理解しておいた方が良いでしょう。

攻略午前Ⅱ

普段エンベデッド分野で活動している方にとっては、すんなり学習がすすむ分野になりやすいかと思います。

過去問からの出題も結構多いので、エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前 厳選問題集」書籍を中心に繰り返し学習すると良いかと思います。問題と解答をそのまま覚えるだけでもある程度解答が可能になるかと思います。

攻略午後Ⅰ

ハードウェア、ソフトウェア問題のどちらかを選択し、時間内に2問解く必要があります。実際どちらが得意かという観点で選択できる方は良いですが、短時間で内容を把握して判断するのは結構難しいので、悩みますが選択した方を信じて進めるしかないかと思います。あと、自分がいま実施している職務に近いものを選択するほうが問題のイメージがつきやすいので、そういう選択指針も良いかと思います。まとまった時間をできるだけ確保して過去問のテキストをいくつか解いてみて雰囲気を掴んでおくと良いかと思いますが、当日の問題を予習することはできないので一発本番で自分の実力値が試されるところになります。ある意味運の要素もあるし時間との戦いになるので、本番の集中力をできるだけ高めて挑めるように心がけるのが大事かと思います。昼食後の睡魔に負けないように頑張ってください。

攻略午後Ⅱ

120分で大問1つを選択する問題となりますが、問題をじっくり読んで進めると意外と120分は足りないです。最後の科目なので、だいぶ体力思考力が削られてきているかと思いますが、もう根性で乗り切ってください。簡単にとれそうな計算問題だけはきっちりこなして取れるところは確実にいきたいところです。勉強法は午後Ⅰと同様、過去問で雰囲気を掴んでおき、自分の実力を発揮するだけです。

実際試験を受けてみた感想

受験者数が非常に少ない印象がありました。いくつか受験会場が分かれて実施していることもありますが、私が受験した時は、その会場では20名にも満たない人数でした。さらに受験者は全員男性ということで女性がエンベデッドシステムを受ける割合が少ないということも感じました。他の情報処理試験と比較しても、この領域に挑む人は割と少数のようです。Web系やインフラ系のエンジニアがやはり人気の職務になるのでしょうか。ちなみに年齢は20代後半から40代前半のあたりの方が多いように見えました。受講票をデスクに置いて、問題用紙と回答用紙を広げて試験するため、机が狭く少し不便でした。問題用紙は何度もページを行ったり来たりめくる頻度が非常に高いためデスクが狭いと非常につらいですね。

試験時間については、午前試験はマークシート方式のため、余裕があり15分程度見直しの時間があるくらいの余裕がありました。しかし、午後問題に関しては時間との勝負で、私は時間が足りず後半の問題は熟考することができず回答することになってしまいました。午後問題の時間配分に関しては非常に難しいと思います。あと、1日に4つの試験を午前、午後と連続して実施するため、午前Ⅰから受講する方は非常に体力がいります。またお昼を挟むため、昼食後の午後Ⅰで睡魔などで集中力が保てないと厳しいため、昼食の取り方については工夫されたほうが良いかと思います。午後Ⅱ試験で途中退出する強者も一人いましたが、基本的に午後試験は時間と体力の勝負になります。前日はしっかり睡眠をとって万全の体調で挑みたいところですね。

最後に

一発合格できると望ましいですが、午前Ⅰ試験から挑む人は学ぶべき範囲も広いので何度か挑戦しながら攻略することも視野に入れても良い試験かと思います。ITエンジニアとして活躍していきたい方でIoTの分野に取り組む方は学ぶことも多いかと思いますので、是非トライしてみてください。